
産後クライシス、産後うつ、マタニティブルー・・・。
妊娠出産、そして初めての子育てで、母親の精神面の乱れが心配されています。
もちろん、怒涛のように変わるライフスタイルや自分の身体についていけず、パートナーや家族のサポートで母親を守ろう!という風潮が今の日本には根付いてきています。
それは大変すばらしいことです。
ですが、実は父親となる夫も、妻の出産を期に「うつ」になる男性も増えてきているのです。
この男性の「産後うつ」、放っておくと家族がバラバラになってしまうかも。
そうならないためにも、夫のうつについて知っておきましょう。
産後うつとは
主に産後うつは、赤ちゃんを産んだばかりの~産後1年くらいの母親が発症する病気です。
気分の浮き沈みが激しくなったり、無気力になったり、育児が辛く感じてしまうものです。
母親の10人に一人、つまり10%が経験するといわれています。
原因は、産後の急激なホルモンバランスの変化(マタニティーブルーズ)、身体的疲労、睡眠不足が原因と言われていますが、はっきりとはわかってはいません。
この産後うつが引き金となり、自殺をしてしまう母親が今も数多く存在するというのが現状です。
夫の産後うつって?罹患率は?
女性の産後うつは、最近メディアでも取り上げられることも多くなり、身近な問題となっていますよね。
では、男性の産後うつってなんなんでしょう?
「産んでもないのに何をいってるんだ?」
初めて知ったとき、正直そう思いました。
今初めて知った方も、きっとそう思う方も多いでしょう。
現代の父親は、以前と比べて仕事のほかに育児参加が求められるようになってきました。
長時間の労働、経済的なプレッシャー、そして慣れない育児に産後不安定な妻。
この状況は、確かにストレスを感じない方がおかしいです。
家族が増える喜びを感じているはずなのに、職場や家庭でも居場所を見失い、うつ状態になってしまう・・・それが男性の「産後うつ」です。
カナダのカルガリー大学の調査によると、女性の産後うつの罹患率は、10%ほどです。
そして男性の産後うつの罹患率は8%とそう低くはありません。
あまり、聞きなれない言葉なのに、実際は多くのパパも苦しんでいるんですね。
実際に、私の友人の旦那さんが第一子誕生の半年後、うつ状態となり、休職していました。
帝王切開から1か月実家に里帰りし、その後自宅に戻った友人と赤ちゃん。
旦那さんはそういえば、友人が妊娠した時から父親としてもプレッシャーを感じているようでした。
「家族が増え、きちんと養っていけるのか。」
「まだ賃貸なのに、大丈夫なのか」
責任感の強い、まじめな旦那さんでしたので、そういう思いと戦ってると友人は笑いながら話していました。
そして始まった新しい生活、慣れない育児に奮闘する中、どうしても旦那さんの行動にイラつく友人。
旦那さんは、最初は頑張っていましたが、やはり休日しか子供とかかわることが出来ないため、ママのようにはうまくできません。
いつのまにか友人は旦那さんよりも、実家の母親を頼りにし、旦那さんは仕事以外は部屋にこもるようになっていました。
一時は離婚の話もでた二人でしたが、お子さんが1歳を迎え、夫婦で本音をぶつけ合っ結果、今は仕事にも復帰し、マイホームも購入していました。
友人は友人で、産後のメンタルの上下に悩んではいましたが、旦那さんの回復を待ち、少しずつパパとして役割を与えていっているようです。
友人は「旦那のキャパシティを多く見積もっていた。急には父親になれないことをもっとわかってあげてたらよかったなぁ」と言っていました。
育児参加の難しさ
このように、夫の育児参加を求められる世の中ででも、実際に育児に関わるのは難しい一面もあるようです。
女性は妊娠期間中から、体の変化と共に母親になることを自覚していきます。
ですが、男性は何も体に変化はありません。
そして、出産後急激に生活スタイルがかわるのです。
いくら心の準備をしていたとしても、そのギャップに衝撃をうける男性は多いようです。
仕事中、自分の居場所が確立している方は、仕事中にある意味休むことができます。
ですが、仕事でも叱られる立場だったり、人間関係がうまくいっていない職場な場合、家庭でも職場でも居場所がなくなってしまいます。
そんな中でも、できることをして妻を休ませてあげようとするものの、不慣れなせいで手際が悪く、精神不安定に罵倒される・・・。
「何をやってもうまくいかない・・・」
と、自暴自棄になり、育児から少しずつ遠ざかってしまう男性も多いようです。
産後うつになりやすい父親の特徴
産後うつになりやすいのは、もともとうつ傾向のあった男性だけではありません。
父親としては理想的な「まじめで優しい人」が産後うつになりやすい傾向があります。
また、妻がすでに産後うつを発症していたり、経済的不安、雇用形態も要因にあげられるそうです。
「子どもが生まれたからといって、職場に迷惑はかけられない」
「家では、妻の負担を少しでも軽くしたい」
「平日でも、帰ってからは子どもと触れ合う時間を取らなくては」
このように仕事でも家庭でも、完璧を目指す男性は、どこかでプチンと糸が切れてしまうようです。
まじめだからこそ、優しいからこそ、自分にぶつけられる不満のもっていく場所がわからず、ため込んでしまうのでしょうね。
何かできる対策はある?
我が家の例をだしますと、我が家は私が産後すぐ~半年ごろまで産後うつ傾向でした。
主人は、そんな私を支え、息子が新生児の頃からお世話も積極的にしてくれ、0歳時期を乗り越えることができました。
我が家で、二人ともが育児に疲れないように対策をしたのは次のことです。
・月に1回ずつ、それぞれが一人になれる時間を過ごす。
・平日の夜間授乳は基本わたしだが、金曜の夜は一晩一人で寝かせてもらえる。
・天気のいい日は、3人で外へ行く。
この3つです。
お互いがギリギリの精神状態で過ごしている中、自由時間を1回ずつもらえるというのはとても有効でした。
お互いがリフレッシュでき、思いやる心が休むたびに芽生えたのを覚えています。
うちの子はほとんど母乳でしたが、哺乳瓶も忘れないようたまに使っていました。
なので、主人が休みの前日は、夜間授乳をミルクで乗り切ってくれ、私は一人で一晩ゆっくりすごすことができました。
主人も、平日はゆっくり寝られる分、週に一回の夜のお世話を楽しんでやってくれました。
そして、お日様の光は二人を前向きにしてくれます。
天気の良い休日は、家でだらだらするのではなく、ベビーカーで外をゆっくり散歩しながらおしゃべりをしました。
このように、お互いのできることをすり合わせた対策を、夫婦で考えるといいと思います。
まとめ
・男性の産後うつの罹患率は8%。女性の10%と比べ、低くはない。
・産後うつになりやすい夫の特徴は「まじめで優しい人」
・産後うつにならないためにできる対策は3つ
あまり知られていない、男性の産後うつについてご紹介しました。
この問題は、男性の根性論では片付けられない難しさがあるのではないかと思います。
育児休暇制度や、周囲の協力を仰ぎ、適切なサポートを取り入れていきましょう。